2番目に君を、愛してる。
申し訳なさそうにするどころか新藤さんは開き直っているようで、私の心をえぐる。
「お兄さんが失踪して寂しかった君の心は、容易く動いただろうけど。安心してーー君の抱く感情は"愛"ではないから。一時的なものだよ」
一時的な感情で片付けられてしまうほど、この心は安くない。
そう否定したいが、それじゃぁまるで私が新藤さんのことを好きみたいなので口を閉ざす。
今夜、兄の失踪と。
あなたへの想いを告白しようと決意していたのに。
そのどちらも今更だ。
今更、もう遅いーー
全て終わったことなんだ。
新藤さんが"なっちゃん"ではなく、
"君"呼ばわりする度に胸が痛む。
「最低な男だな」
隣りで兄は盛大な舌打ちをして、身を乗り出して助手席に顔をの覗かせた。
「失踪?だなんて大袈裟な。仮に失踪呼ばわりされても、俺は隠したいことがあったわけじゃない。あの現場をこの目で見て、受け止められずに逃げたんだ。あんた同様、俺も櫻井が好きだったから」
兄の言葉を聞いて、泣きたくなった。
櫻井さんと呼ばれる女性はどれほど魅力的な人なのだろう。