2番目に君を、愛してる。
「…今日は失礼します。念のためあなたのことを美崎に見張らせますので」
頭を下げて新藤さんは松葉杖で歩を進めた。
寄り添ってあげたいけれど、迷惑だろう。
「あの人、まだ俺のこと疑ってるんですかね?」
「…いやあいつは真実を受け入れられないだけなんだよ。本当に心苦しいが、あと少しだけあいつのワガママに付き合って?」
軽い口調だったけれど美崎さんは深々と頭を下げた。
それを見て兄は盛大な溜息をついた。
「ツインのホテルでも泊まるか。宿泊費はそっちで頼むよ」
「もちろんですよ」
2人の会話を聞きながら、新藤さんの後ろ姿を見送る。
もう会えない、そう思ったら。
勝手に口が動いた。
「新藤さん、ちゃんと荷物を取りに来て下さいね。私、物は大切にする性格なので処分を任されても困りますから」
伝えたいことは、そんなちっぽけなことではないけれど。
今はこれでいいーー次へ繋がる一言だと信じたい。
新藤さんは立ち止まることなく、立ち去った。
一緒に歩く時、彼は必ず私がついて来ているか確認して歩調を合わせてくれたのに。
もう目すら合わせてくれないところを見ると、私は新藤さんにとって不必要な分類へと放り出されてしまったみたいだ。