2番目に君を、愛してる。
第5章 消せない想い
それから兄は再就職先を見つけるために面接や資格の勉強に勤しんでいた。
元々私なんかと比べられないくらい頭が良かったし心配することはなにもない。顔色も肌つやもとても良くなり、安心している。
ただあの晩から半月経った今でも、美崎さんの監視の目が光っているらしく、居心地の悪さを感じているようだった。ーー新藤さんとは一度も会っていないという。
新藤さんがいない日常にはもう慣れた。
元のような静かな生活にはならずに毎晩、兄が部屋を訪ねてくるため寂しくはない。
もう全てがいつも通りだ。
けれど、今日のような風が強く天候の悪い日は思い出してしまう。
雨の中、怪我を負い傷付いた姿を。
刑事という仕事上、逃れられないことかもしれないけれど無事で居て欲しい。
赤の他人でも願うことは許されるよね…。
窓の外を見て溜息をつくと同時に
玄関のチャイムが鳴った。
兄は合鍵を持っているから、勧誘だろうか。
雨の中、働いている人を尊重して丁寧に断ろう。
「はい」
ドアを開けると、外からの冷気が部屋を吹き抜ける。
「え…」
ドアの向こうに立っていた人物に、目を疑った。
「久しぶり」
「新藤さん…」
そこに立っていた彼は穏やかな表情で私を見下ろした。