2番目に君を、愛してる。
気付かないフリをして通り過ぎれば良い。
たぶんそれがきっとお互いのためだ。
一目見れただけで、良かったじゃないか。
重い足を無理矢理に床から引き剥がして、一歩前に進む。
気軽に挨拶を交わせるような関係になれたら良かったのに。
新藤さんの背中が見える位置に座った。
見るだけなら良いよね。
逢いたいと思っていた。
志望校を変えたことを伝えたいと思っていた。
新藤さんに頑張れと応援されたら、自分を信じられるような気がしていた。
アイスコーヒーを頼み、参考書を開く。
私にできることをしなければ。
そう分かっているのに、ペンが進まない。
何ヶ月も隣りで勉強を見てくれた彼が今は背を向けていて、視界にすら入っていないことがこんなにも苦しいなんて。
逢いたいと願った結果が、胸を焦がすような痛みなのだから本末転倒だ。
彼から視線を外して下を向き、唇を噛み締める。
今この瞬間、無性に彼の名前を呼びたいと思った。
新藤さんーー。
コトンッと、椅子が動く音がした。
机に影ができ、倫也くんが来たようだ。