2番目に君を、愛してる。
時間通りにお店に入ってきた倫也くんはスポーツバッグを下げていた。
「おす」
「倫也くんはスポーツやってるの?」
「いや。大学内のジムを自由に使ってるだけ。部活やってない部外者はダメなんだけど、先生に頼み込んで」
「鍛えてるんだ、凄いね」
「普通だろ」
倫也くんは団体競技が苦手そうで、ひとりでジムで鍛えているところが想像できた。
人と関わることがあまり上手くない私たちだから、分かり合える部分がある気がした。
「腹減った。なんか食う?」
「オムライスが食べたい」
「俺はハヤシライスにするわ」
上品なカフェで金髪は目立っていたけれど、彼の身なりが整っているせいかその辺にいる不良には見えなかった。
ピアスをあけていないし、アクセサリーもしていない。日に焼けた肌は健康そうだし、キリッとした眉は男らしく、クールな性格は落ち着いて見える。
「これ、」
食事を注文して早速彼は参考書の入った紙袋をくれた。
「こんなに良いの?」
「もう使わないから」
「ありがと!なんかお礼させて?」
「使い古した本あげたくらいで、礼なんて貰えるかよ。持って帰るの重いと思ったから少なめにしたけど、問題集ならまだある。また渡すから」
「ありがとう。でもそんなに出来るかな…」
紙袋の中には厚めの参考書が5冊入っていて、パラパラめくっただけではよく分からなかった。
「やるしかねぇだろ」
「そうだよね」
倫也くんはたくさんの参考書を読み、問題集を解いて受験を突破してきたのだ。それらをクリアしないまま受験に立ち向かえるはずがない。
「分からないところあったら教えてやるよ」
「すっごい、助かる!」
初めて気さくに話せる友人ができた。
絶妙な半熟玉子がのったオムライスもとても美味しく、大満足だった。