2番目に君を、愛してる。

図書館らしき赤茶色の建物に着き、入り口を探していると見覚えのある姿を見た。


「本当に懐かしいねー英語の、あの教授なんて言ったけ、ほら、あの」


「ああ、分かる。吉沢のことを敵視してた教授だよね」


図書館の入り口で、新藤さんと吉沢さんが並んで立っていた。

昔話に花を咲かせているのか、新藤さんも自然な笑顔で口を開いていた。


元カノさんだとは聞いていたけど、同じ大学だったのかな。


立ち去れば良い。

この距離であれば、さすがの新藤さんも会話に夢中になっていて気付いていないはずだ。
引き返して、迷子になったから迎えに来てと倫也くんに連絡すれば済む話だ。


「冬樹のことを敵視してた教授もいたよね?ゼミの」


「あれには参ったよ。危うく卒論の単位を落としかけた」


「まさか、首席に単位をあげない教授の方が問題でしょ」


和気あいあいな雰囲気で笑う男女は側から見たら恋人のようだ。

新藤さんは私服で、吉沢さんに至っては大きな胸を強調するシャツを着ていて長く細い足を見せつけるかのようにショート丈のパンツを履いていた。赤いヒールもまた映える。


「せっかくだから学食に行こうよ」


楽しそうで親しげな雰囲気を壊したくて、
私は前を向いて歩き出す。

ここで踵を返したら、また後悔が増える。

それなら新藤さんに話しかけて、後で後悔する方が多少はマシだよね?

< 228 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop