2番目に君を、愛してる。
吉沢さんが先に私に気付いたようで、じっとこちらを見つめて来た。
綺麗な人に見られるって緊張する。
かけるべき言葉が分からず、図書館の入り口に立つ2人に近寄り、会釈する。
新藤さんは相変わらずのポーカーフェイスで驚いてくれたか判断できない。
「奇遇だわ。オープンキャンパスに来たの?」
「いえ。友人に会いに」
気さくに話しかけてくれた吉沢さんに感謝しつつ、嘘を吐いた。
東都大学を受けるつもりですなんて、大それたことを言うだけの実力がまだ伴っていない。
「私たち少し時間があるから、お茶でもどう?お友達も一緒に」
新藤さんに相応しい、明るく社交的な女性だ。
香水の良い香りが鼻腔をくすぐる。
「あ、今日は大丈夫です。すみません」
「あら、残念。ね?」
吉沢さんが新藤さんを見ると、「そうだね」と答えた。
あっさりとした反応。
分かっていたことだけど興味を持たれないことは辛い。
「また会いましょうね。…冬樹、学食はあんたの奢りよ」
吉沢さんは私の肩をポンと叩き、通り過ぎる。
彼女の後を追うように歩き出す新藤さんを止める言葉も理由もなくて、私も真っ直ぐに入り口に向かう。
図書室への扉を開けようとして、カフェのお礼を言えていないことに気付いた。
「新藤さん!」
姿勢のいい後ろ姿を呼び止めた。