2番目に君を、愛してる。

駆け寄ると新藤さんは振り返って待っていてくれた。


「カフェのお会計、ありがとうございました」


「オムライス食べた?」


「とても美味しかったです。ふわふわで病みつきになる味でした」


「マスターにしか出せない味だよね」


「私も家で挑戦したいのですが…やっぱり隠し味があるんですかね」


良かった。
普通に話せてる。


「それにオムライスの玉子を綺麗に焼けなくてて」


「そうなの?玉子焼き、綺麗に焼いてたよね」


「昔からオムライスだけは苦手で。玉子焼きもやっと作れるようになったし」


元に戻ったみたいだ。
楽しい。嬉しい。



「君の玉子焼き、好きだったな」


「あ、ありがとうございます…」


「いつかまた、食べさせてね」


「…は、い、その、いつでも来てください」


声が震える。

新藤さんには作り笑いは止めてと言っておきながら、絶対、今の私は固い笑顔を浮かべているだろう。


「楽しみにしてるね」


「はい」


「…またね」


「はい」


新藤さんは私の目を見て微笑むと、少し離れたところで待っていてくれた吉沢さんの元へ駆け寄って行く。

2人の後ろ姿が見えなくなるまで見送った私の心は満たされていた。


やっぱり、新藤さんのことが好きだーー

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