2番目に君を、愛してる。

「他人と関わることが苦手なおまえがよく半年も耐えられたなって。純粋に疑問だよ」


「新藤さんといる時間は本当に楽しくて、錯覚しそうになった。私に家族ができたのだと」


「…俺のせいでもあるわけだ」


「そうだよ。唯一の家族が逃亡したとなれば、そりゃぁ人恋しくもなるでしょ」


不安でたまらなくなり、夜道を徘徊し、兄の影を探し歩いた。そんなことをしても偶然兄と出会える可能性など無いに等しいことも分かっていたけれど、じっとしていられなかった。


不安で仕方ない夜を、勉強のため有意義に使い、適度な睡眠時間を取れるような規則正しいものにしてくれたあなたに自分の口から兄のことを伝えたかった。


浴衣を着て花火を見た夢のような時間の中で、兄のことを話そうと決意したというのに。



「会いに行けば?」


「行っても良いと思う?」


「作ってやれよ。引くくらい豪華なやつ」


兄の視線がテーブルの上の料理本に移る。
借りてきた理由はもちろん話していない。
さすが、乙女心に鋭い…。


「…明日にでも行こうかな」


すぐに行動を起こさなければちっぽけな勇気がしぼんでしまいそうだ。善は急げだよね。

顔を上げて兄の反応を伺う。
意見を聞くのならば異性相手の方が現実味がある。


「行ってみろよ。肩の力を抜いてけよ」

「うん」


トウモロコシにかじりつく。

ベランダで肩を並べて食べるトウモロコシは懐かしい味がして、兄が戻ってきたという実感がやっとわいてきた。
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