2番目に君を、愛してる。
気持ちが変われば、日常も変わる。
学校に行くことも楽しくなり、嫌なことも苦ではなくなる。
「夏、最近機嫌いいな?」
お昼休み、鋭い指摘をしてきた青山先生の言葉に立ち止まる。
「そう見えます?」
「いいことあったのか?」
「特には」
平然とした態度で答える。
新藤さんはすぐにお弁当の感想メールをくれた。
美味しかったという感想と身体に気をつけてという内容は短文だったけれど、それだけで満たされた。
新藤さんと初めて連絡をとり新鮮に感じた。今までは伝えたいことがあればその日の内に直接伝えられていたのだ。新藤さんと暮らした日々が恵まれていたものだと思い知る。
例え愛する人のために私を騙していたとしても、それ以上に与えてもらった。
「倫也に惚れたとか?」
「……まさか」
「そう?じゃぁ、俺にしとく?」
冗談であるのか真意が分からない言葉を無視し、屋上へと続く階段に足をかける。
「ーーあの、刑事か」
「うん」
入学して以来、裏表なく真っ直ぐ私に向き合ってくれた青山先生にはこれ以上の嘘はつきたくない。
東都大学へ志望校を変えたことも、私の意思を尊重して無理だと決め付けることなく、倫也くんを紹介してくれた。
「前にお前、聞いたよな。俺に教師を辞める覚悟あるのって?…俺にはないよ、この仕事が好きだから」
清々しい晴れやかな顔で青山先生は笑った。
「だから成人したらまた会いに来いよ。フリーだったらな」
「はいはい」
階段を上る。
成人しても何も変わらないことは分かっているけれど、大人になりたい気持ちはより一層強くなるばかりだ。