2番目に君を、愛してる。
第6章 選択と未来
「新藤さん、どうしたのですか?」
「家に帰るところ」
「どっち方面ですか?」
「こっち」
新藤さんが指差した側は倫也くんと同じ左側のホームだった。
「そうですか…」
一緒に帰れるかと期待したが同じ方面ではないようだ。そもそも私は新藤さんの自宅の場所を知らない。
「行こう」
「え、待って…」
しかし新藤さんは右側の階段を下りていく。
「送ってくよ」
「そんな!大丈夫です!新藤さん、終電なくなっちゃう!」
慌てて新藤さんの腕を掴む。
遅くまで働いていた新藤さんに手間をかけさせたくない。
「帰りはタクシーでも呼ぶよ」
「そんな無駄遣い駄目です!私は大丈夫なので真っ直ぐ帰ってください」
「夜道は危ないよ」
「防犯グッズ持ってますので。なので、ここで…」
「それじゃぁ君も、うちに来る?」
「え?」
掴んだ手は新藤さんに捕らえられ、手を繋がれた。
「おいで」
反対側の階段に誘導される。
繋がれた手は優しく、嫌だと言えば彼はすぐに足を止めるだろう。
けれど心では反対のことを思っていて、彼の気が変わらないうちに口に出す。
恥ずかしいけれど、黙っていては伝わらない。
「私…新藤さんの、お家に行ってみたいです」
「それは光栄です」
ふざけ半分な返事に笑い合う。
新藤さんと一緒に行きたいところなら、数えきれないくらいあるんだ。