2番目に君を、愛してる。

遅い時間のため電車の本数は少なく、それでいて人の数は多かった。

お酒が入った気持ちの良さそうな男性がいれば難しい顔をしてパソコンを見る女性もいる。


「いつも遅いのですか?」


「うん。今日早い方」


大変ですね、なんて他人事のような台詞しか出こない。もっと気の利いたことを言いたい。


「なっちゃんは?さっきの子と遊んでたの」


「1つ年上で、勉強を教えて貰ってて。いつもお世話になってるんです」


「そうなんだ。勉強、頑張ってるね」


「はい!新藤さんに基礎を叩き込まれたことが良かったみたいです」


少し前までは私も浮かない顔をして電車を待つひとりだった。

居場所がなく、どこにいてもなにをしていても孤独を感じていた。


今は無邪気な子供のように、未来に胸を馳せている。

大学に行くことが楽しみで、これから自分になにができるか考えることもできるようになった。
前を向いて生きようと思えたことは、成長している証だという自覚もある。


「勉強会、途中で投げ出してごめんね」


「そんな!気にしないでください」


「けど俺の場所を他の男にとられて、すごい悔しいよ」


え…。
それって嫉妬?


「だから今度ちゃんと挨拶させて?」


「もちろんです!」


深夜11時過ぎ。
新藤さんは疲れも見せず、笑いかけてくれた。

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