2番目に君を、愛してる。

シトラスの香りがした。
お揃いのシャンプーの香りはしない。

きめ細かい綺麗な肌が近付き、鼻と鼻が触れ合うその距離で見つめ合う。


新藤さんの手が私の両頬に添えられる。

優しい触れ方に緊張していると、
長い指で耳たぶをくすぐられ、思わず笑ってしまう。


お互いの吐息がかかる。


「嫌じゃない?」


「…嫌じゃないです」


待ち望んでいたことだ。


「良かった。嫌になったら遠慮なく言葉にして」


花火大会以来、離れた心の距離が悲しくて、行き場のない思いをどうすることもできなかった。

また触れて欲しいと願った。



「新藤さんにされて嫌なことなんて、なにひとつありません」


「……」


返事の代わりに彼の唇が迫り、覚悟を決めて目を閉じる。

やり方なんて知らないし、テレビで見た知識くらいしか持ち合わせていないけれど、不安はなかった。


期待していたーー


けれど、すぐに彼の気配は消えた。


恐る恐る目を開けると、私から距離をとった新藤さんは頭を撫でてくれる。



「お腹は減らない?」


なんで?
また子供扱いされたのだろうか。


「コンビニでも寄ってくれば良かったね」


「……なんでっ、」


伸ばされた手を、強く掴む。


「どうして止めるんですか?私が子供だから?」

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