2番目に君を、愛してる。
第2章 甘く意地悪な共同生活
私たちが出会って5日目の朝、新藤さんは言った。
「今日は午前中で学校終わるんだよね?良かったら買い物に付き合ってくれない?」
「もちろんです」
毎日、美崎さんが運転する車で送り迎えをされて、食材は近所のスーパーに寄ってもらい済ませていたが、新しい生活だというのに新藤さんの生活必需品は何も買え揃えていなかった。
彼はバッグすら持たず、私の部屋にやってきたのだ。もしかしたら不便を感じていたのかもしれない。
「それと美崎の送迎も今日で終わりだからね。傷も塞がったし、休み明けからは俺が運転するね」
「大丈夫なんですか?本当に?」
トーストをかじりながら疑いの目を向ける。
人ってあんなに真っ赤にシャツを染めておいて、何日かで回復するものなの?
「本当に大丈夫だよ。ありがとう」
「それじゃぁグーで殴ってもいいですか?」
「できれば遠慮したいな」
出会った日から一度も新藤さんは"痛い"という弱音を吐かなかった。私がお風呂に入っている間に包帯を変えて薬を飲んでいるらしいので、どれぐらい回復しているのかも、そもそもどれぐらいの怪我を負ったのかも把握できていない。
私を安心させるための涼しい顔に騙されてきた。
「…辛かったら絶対に言ってください。あなたの体調に関しては隠し事はなしですよ」
"ありがとう"彼はそう言って微笑む。
ああ、きっと。傷口が開いてもこの人は私に教えてくれないだろう、そう思った。