2番目に君を、愛してる。
美崎さんに何度もお礼を言い、校門をくぐる。
捜査がひと段落したらまた遊びに来てくれるという。
「青山先生、おはよー」
「青山ちゃん、おはよう」
登校途中の青山先生は朝から大人気だ。
本来なら教師はもう少し早い登校のはずだが、生徒たちの会話から今日も寝坊したと伺える。
そういう先生らしからぬところも人気の秘訣だ。
「あー眠い」
「青山先生、1限はうちのクラスじゃん?自習にしちゃう?」
「それは無理だなー」
学校に来ればいつもの日常で、放課後は非日常だ。
必要以上に踏み込んでこない新藤さんの隣りは安心する。両親の話題もなければ、祖父のもとに帰るべきだと大人の正論を突きつけたりもしない。
けれど、知ってる。
それは彼が他人だからだ。
2人が深く関わる意味が、ないからだ。
それが少し寂しい。
「波木、1限サボるなよー」
クラスで目立たぬ私にもそう声を掛けてくれた青山先生に会釈する。
今日は土曜日で午前授業だ。
午後からは新藤さんと買い物に行く。
たったひとりの友達もいない私は誰かと買い物に行ったことがない。洋服だって制服と、スエットがあればなんとかなる。
元々物欲のない私に節約はそう難しくなかった。それでも今日は少しだけ無駄遣いをしたい気分だった。