2番目に君を、愛してる。
「今の貴方の状況は普通ではないです。そして、私も。台風が近付いている夜に出歩く女って、おかしいでしょう」
男は何も言わない。
風が通り抜ける音にかき消されないよう、口を開く。
「貴方の名前も、年齢も、職業も。全部、私にはどうでもいいことです。ただ、此処で倒れている人間を見捨てるという、自分のプライドに反することをしたくないだけです」
男の腕を取る。
「さぁ、立って」
「…見知らぬ男を助けるリスク、分かってるの?」
やっと目を開けた男に、笑いかける。
「どうぞ、殺したければご自由に」
男の目が大きく開いて間抜けな顔になり、
してやった気分になる。
私は、正しいことをしたいだけだ。
兄に誇れる、己になるために。