2番目に君を、愛してる。

「夏は頭が良いからな、勉強面については何も心配してねぇよ。たが毎日あんま楽しそうじゃねぇからな。友達とか部活とか、恋とか、なんでも良いけど夢中になれるもんがあったら良いなあと思ってるだけ」


コーヒーの湯気で先生の伊達眼鏡が曇る。


「…残念ながらそういうものとは無縁です」

「気になるクラスメートとかいないの?それとも俺のような大人な男が良いわけ?」

「さぁ、どうでしょう」

「そういや夏、最近若い男と一緒に下校してるって噂されてたぞ」

「はい?」

「しかも車で迎えだって?彼氏か?」

「…兄と、兄の職場の人です」


隠す必要はないだろう。
来週の三者面談で青山先生と新藤さんは対面することになるだろうし、今のうちに兄の話題をしていた方が不自然かもしれない。


「ああ、仕事落ち着いたのか。そんじゃ、相談ごとは俺じゃなくて兄貴にすりゃぁいいか」


納得したように青山先生は頷き、コーヒーカップを置いた。


「俺も色々あって非行の道に走ったけど、仲間と悪さしてそれがストレスのはけ口になってたと思うんだよ。だからおまえも溜め込むなよ、いつか爆発するぞ」


本気で心配してるんだぞ、と念を押される。

私のような生徒にも親身になってくれる彼は、本当に教師という仕事が天職なんだろうな、と他人事のように聞いていた。

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