お見合いから始まる恋→結婚
「ゆっくり歩きながら話しませんか？」

そんな始まり方も良いかもしれない。

私はふっとそう思った。

どうせおしゃれなカフェか、それとも映画館くらいに行くのかなと想像していた。

その想像は良い方に裏切られたような気はする。

時々は立ち止まって動物たちを見るけれど、それよりもゆったりとしたペースでおしゃべりしながら歩くのもなかなか良いものだ。

どうも原さんは食品メーカーで食物アレルギーに関する研究をしているらしい。

私はあまりそちらの方面は詳しくないけれど、原さんはうまく嚙み砕いて丁寧に自分の仕事について話してくれた。

私も自分の仕事について聞かれたので話し始めた。

「私は大学で図書館司書をしています。私達得意な事が正反対みたいですね。」

学生時代に理系の教科が苦手だった私は笑う。

「そうですね。私はやっぱり本は苦手です。研究に関係する書物はしっかり読むんですけどね。」

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