お見合いから始まる恋→結婚
「陶子さん、こないだから私はここに泊まっているの。」

璃子さんはニッコリ笑った後、顔をポッと赤くする。

「私達やり直せそうなの。」

璃子さんの出まかせだって分かっている、でも…。

「ごめん、尚登。今日は帰る。」

私はそのままの勢いで、マンションを出た。

何となくここに私が居てはいけないような気がしたのだ。

尚登が後を追ってくる気配はしない。

その事も私を傷つけた。

やっぱり少し期待した私がいた。

トボトボと歩き出してから、私の頬を涙が伝いだした。

何とか尚登を信じたいという思いと目の前で見た事への衝撃とがないまぜになる。

私はついに立ち止まり、泣きながらその場にうずくまってしまった。

「心配だったから来てみたら…。」

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