お見合いから始まる恋→結婚
もう私の心は空っぽだったからだ。

そんな私の様子に諦めたのか、お兄さんの歩みが止まった。

私はそれにも気が付かぬまま、歩き続けた。

いつもはバスを使う道のりをただただぼんやりと歩いて行く。

周りの人たちが気味悪がって私から距離を取る。

そんな事は今の私にはどうでもいい事だった。

尚登の事は信じたい。

でも衝撃が強すぎて、自分の動揺を抑えられない。

その後に尚登にあんな姿を見られるなんて。

そう思いながら目をつぶると、さっきの璃子さんの姿がちらつく。

あの姿をさせた…、私の物を璃子さんに触らせた尚登に許せないものを感じる。

そして何度呼んでも振り返りすらしなかった尚登。

私達の関係はそんな簡単なものだったの?

「おかえり、あら、陶子?」

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