お見合いから始まる恋→結婚
いかにも研究者という感じで、身なりにはあまり構わないように見えた。

でもとても優しそうで、きっといつも研究室内でこんな表情でニコニコしているんだろうなと思わせる。

「尚登君の上司の方ですか。私は陶子の父です。今回はいろいろとお世話になるみたいですね。」

お父さんとお母さんが玄関に出てきた。

「すいません。本人ではなく、私が出しゃばってしまって。」

中村さんは恐縮しきりだ。

「お父さん、お母さん、原は決して気が回り、物事を器用にさばいていくような奴ではありません。しかしとても信頼できる人間です。だからお嬢さんを安心して原と結婚させてやってください。よろしくお願いいします。」

中村さんは深々と頭を下げた。

「いいえ、私も彼のような人間が好きです。娘も待った甲斐があったと思っています。これからも二人をよろしくお願いします。」

お父さんも深々と頭を下げた。

やっぱりお父さんには心配を掛けていたのだなと、私は胸が痛かった。

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