お見合いから始まる恋→結婚
やっぱりニコニコしながら、中村さんは話す。

軽トラックだと運転席と助手席が狭くて近い。

でもなぜか初対面の人と思えないほど、不思議と緊張を感じなかった。

中村さんが出す雰囲気のおかげなのだろう。

「陶子さん、ごめんね。」

中村さんの話は何故か私への謝罪から始まった。

私は不思議そうな顔を中村さんに向ける。

中村さんは運転中なので、前を向いたままだ。

「璃子を原に紹介したのは私なんだ。璃子は私の親戚筋に当たる。」

私は口を挟まず、ゆっくりうなずいた。

「璃子は原と破談になった途端、少しおかしくなってしまった。自分があいつのお兄さんに心を移した事を自分の記憶から消し去って、一方的に断られたと思い込んでしまったんだ。」

私は驚いて言いかけた。

「それは…。」

< 126 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop