お見合いから始まる恋→結婚
「そう、多分精神の病気だと思う。病院にも通ったりしてやっと今の状態に落ち着いた。」

でもこないだの感じだと、まだ完全な状態の璃子さんではないのだろう。

少し表情が厳しくなった中村さん。

「でもその事で原は追い詰められた。あいつが悪いわけではないのに、一度はやり直そうと思ってくれたみたいだ。しかし奴は最後まで璃子に対する不信感がぬぐい切れなかったんだ。だから俺に璃子と音信不通にすることに許しを求めてきた。」

これが尚登が話していた地獄の日々という事なのだろう。

話している中村さんも苦しそうに見える。

「でも…。」

一瞬中村さんは私に笑顔を向けた。

「あなたと知り合ってからの原は変わったよ。ニコニコして研究が順調に進んでいくかと思ったら、今度は何かを考え込んでいるようで結果が得られない。
まさに人を好きになっている、人間らしい姿を取り戻していったんだよ。」

私は自分の顔が赤らむのが分かった。

「だからあなたに私は早くお会いしたかった。原をよろしく頼みますと頭を下げる準備をしていたんだ。でも原はどうしても私に負い目があったんだろう。なかなか会わせてくれなかった。」

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