お見合いから始まる恋→結婚
私は尚登を見上げた。

「ありがとう。」

それだけで充分なような気がした。

「本当に陶子さんはそれでいいの?」

私達は後ろからする声に振り返った。

「これですべて解決なの?」

気味が悪いくらいの微笑みで私達を見つめているのはお兄さんだった。

「兄貴、もう俺の人生の邪魔をするのは辞めてくれないか?」

あまりのも冷静な尚登の低い声に、私もぞくっとした。

「どうしてお前ばかりそんなに恵まれているんだ?」

お兄さんは明らかに尚登さんを睨みつけている。

「何を言っているんだ。俺はずっと兄貴には適わないと思っていた。容姿も性格も頭の方も。」

お兄さんはふんと鼻を鳴らした。

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