お見合いから始まる恋→結婚

お母さんはそう言うけれど、お父さんの関係なら断りにくいに決まっている気がする。

「紹介者は誰も付き添わないから、○○駅に10時集合ですって。だからお相手も気が向かなかったら来ないかもしれないんだけど。」

あまりにも漠然とした話に私は笑いがこみ上げる。

そりゃ、娘が35歳にもなれば母親も心配なんだろう。

こんな漠然とした話にも飛びついてしまうのかもしれない。

ましては私…。

「私を見た途端、イマイチで名乗らずに慌てて逃げられちゃうかもしれないんだね。」

何だかゲームみたいで面白いかも。

ちょっと気が楽になった。

私にだって逃げ出す権利があるかも。

「当日に気が向いたら行ってみようかな。」

「それぐらいの気持ちで良いんじゃないかしら？相手にはあなたの写真だけ渡してあるの。そうそう、これ見る？」