お見合いから始まる恋→結婚
「実はお母さまから電話をもらう前から、ずっと陶子の様子にしっくりいかなくてさ。」

さらっと私の名を呼び捨てするようになった尚登さん。

「どうしていつまでたっても恋人らしくなっていかないんだろうって思っていた。陶子の事は分かってきたつもりだったのに、どうして気持ちが近づいていかないんだろうって悩んでいた。」

尚登さんが苦笑いをした。

「そう、一番肝心な気持ちが見えない感じがしてさ。そりゃそうだよな。」

尚登さんは少し照れくさそうに私を見た。

もう車は動き出していたので、それは一瞬の事だったけれど。

「陶子の方に俺の気持ちがちゃんと伝わっていなかったんだよな。」

いつの間にか、尚登さんのしゃべり方が変わって来た。

「女ってね、いくつになっても言葉にちゃんとしてもらわなきゃ分からないんだよ。」

私も砕けたしゃべり方に自然になって来た。

「俺の気持ちはもろに陶子に出ていただろう?」

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