お見合いから始まる恋→結婚
私はドアを閉めると、そんな尚登さんの横にスッと立つ。

お互い顔を見合わせて、微笑み合う。

その瞬間、尚登さんはごく自然に私の手を取った。

「ここから恋人同士になっていけるかな。」

「そうね。」

動物園に来たのに、動物たちの前には止まらずに私達はずっと歩きながら話をしていた。

そう、あの初めて会った日のように。

ただ立ち止まらないだけ。

「研究が上手くいかなかったのは陶子のせいなんだからな。」

思いがけない事を言われ、私は頬を膨らませる。

「どういう事?」

「お母さまから電話もらって、思い当たる点があるような気がしてずっともやもやしていた。だから研究中に他事を考えているから、結果が出ない。だから余計にイライラして…。」

私が口を挟もうとすると、尚登さんはそれを制した。

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