お見合いから始まる恋→結婚
「陶子、愛している…。」

最期に尚登さんがそう言ったのだけが分かった。

私達はそのまま眠り込んでしまったらしい。

気が付いたら裸のまま抱き合っていた。

いつの間に尚登さんが持ってきたのか、毛布が二人に掛けられていた。

私の胸に尚登さんの手が置かれている。

私はその手を口元に寄せるとキスをした。

「ありがとう。」

婚約解消の呪縛から解き放たれた気がした。

あの人との営みはもっと淡々としていた。

私もこんなに疲労感を感じる事もなかった。

今考えれば、ただの儀式だったような気がする。

尚登さんとはまるで魂がぶつかり合ったような行為だった。

お蔭で喉が渇き、体がだるい。

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