お見合いから始まる恋→結婚
「そうしたらあんな嫌な思いもせずに済んだかもしれないのに。」

「えっ?」

尚登さんにとっては思ってもみない返事だったんだろう。

「…お兄さんと一緒だった私を見たんでしょう?」

尚登さんは神妙な顔つきをしてうなずいた。

「尚登さんのお兄さんに誘われたら断るわけにはいかないでしょう?…もしかしたら私の義理のお兄さんになるかもしれない人なのに…。」

私はちょっとドキドキしながら言った。

「ねえ、心配してくれた?」

尚登さんはちょっとホッとした様な顔をした。

「あの時は二人を見失ってしまって…。きっと何か言われただろう?」

私は素直に話す方が賢明だと感じた。

「実はね、図書館で会った時に“今度弟に内緒でデートしましょう。”って言われてしまったの。」

やっぱりという顔をする尚登さん。

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