お見合いから始まる恋→結婚
「その後で尚登さんの話を聞いたから、私はちゃんと用心していたのよ。」

溜息をつく尚登さん。

「何かあった?」

私はその時の会話を思い出しながら話をする。

ますます尚登さんの表情は渋くなった。

「“尚登から僕に乗り換えない?”」

私はお兄さんの最後のセリフを口に出した。

「陶子は何て返事したの?」

ここまで言ってしまって、私ははっと気が付いた。

「陶子?」

尚登さんが私の顔を覗き込む。

私はその視線を外すように横を向いた。

私は少し赤くなりながらぼそぼそとつぶやく。

「陶子、聞こえないよ。」

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