お見合いから始まる恋→結婚
尚登の肩に置いている私の手に力が入る。

「婚約期間が長くなるのは、陶子が不安にならないかい?」

私は思わず力の入ってしまった手を握り締める。

「俺も兄貴の事を考えると不安だ。」

尚登は私を抱き寄せる。

「実はさ、今の陶子と同じような関係までいった女性が居たんだ。」

私はこっそりと尚登の表情を伺う。

「俺も陶子と一緒だよ。婚約解消された事がある。…と言うより自分からになるのかな。」

尚登が私に視線を合わせる。

もしかして…。

「そう、陶子の想像通り。…兄貴にさらわれたんだ、彼女を。」

私は両手で口を覆う。

「その後兄貴がすぐに心変わりしてさ、捨てられてしまったその女性に復縁を迫られたんだ。」

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