お見合いから始まる恋→結婚
お父さんが珍しく強引だ。

「早く。」

「でも今日尚登は仕事で…。」

私は焦ってお父さんを見た。

「じゃあ、どんな形でもいい。早く尚登君に知らせなさい。」

私はうなずくと、お父さんの様子に圧倒されながら自分の部屋に駆け込む。

「悟さんらしくないわね。」

私が姿を消したリビングではお母さんがそんな事を言いながら笑っていた。

「多分引っ越しをしない訳を聞けば、陶子はそれらしいことを言うだろう。でも陶子はやっぱり憶病になっていると思うよ。」

「そうね。」

「そんな娘の重い腰を上げさせるのも、親の役目だろう。」

お母さんはお父さんに笑いかけた。

「前の結婚は早すぎるって悟さんは反対していたのにね。今度は逆にけしかけるのね。」

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