お見合いから始まる恋→結婚
そんな尚登に私は少し怒ったような表情をわざと向ける。

「私が信用できない?」

「違うよ。」

尚登は肩で息をつく。

「俺は兄貴にどうあがいても適わないんだ。それは嫌というほど感じている。だから俺の問題なんだ。」

婚約者を以前にさらわれた事は、やっぱり尚登の中に深い傷を残しているんだろう。

「お兄さんに対してはいつもの尚登とは違う人になってしまうのね。」

「えっ?」

尚登は意外な事を言われたようで少し驚いたようだ。

「そんな弱気な尚登は見たくないな。私の前では堂々と胸を張っていてもらいたいわ。」

私は尚登の肩をつつく。

すると尚登は私を抱き寄せる。

こんな些細な事も自然に出来るようになって来た。

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