白~黒船来航の秘密~
第壱章 小さな人助け
私は三条雪。
町奉行である青山武蔵様の与力の娘よ。
仕事で青山様と遠出をしていた父さまが今日帰ってこられるの。
朝から母様がとてもたのしみにしていたわ。
「お雪、武人様のお迎えの時間ではないかしら?行かなくていいの?」
「今から行ってきます。武人、怪我していないといいのだけど。」
「お稽古だから仕方ないでしょう。あなたも習いますか?」
冗談じゃないわ。私は女の子だもの武道はしなくていいと思うわ。
「いいえ。私は女の子です。武道をするのは武人たちだけでいいと思うわ。」
そもそも私、武術はあまり好きではないしね。
「ふふふ。分かっていますよ。冗談です。さあ、おときを呼びにいってらっしゃい。」
「はい母様。行ってきます。」