白~黒船来航の秘密~
「そうだわ、雪お嬢さん!最近親方のところにまた新しい子が入ったらしいですよ。」
「ええ。武人からこの間挨拶のできる気持ちのいい青年だったと聞きましたよ?」
「そうでしたか。太一というんですけどね明るくていい子なんですよ。ぜひ、皆さんに紹介しようと思っていたんですけどね。武人様に先を越されてしまったようです。」
武人と親方は仲がいいから。
きっと新入りの方が入ったらすぐに教えているんでしょうね。
「あの2人はよく話をしていますからね。私たちでは話題に追いつけないのでしょう。あ、これお代です。」
「はい、ちょうどいただきました。そうかもしれませんね。親方は武人様を弟のようにかわいがっていますから。あ、それともうひとつ。最近飴玉に似た毒物が出回っているらしいんですよ。どうか気を付けてくださいね。」
「そう。すこし調べてみますね。あら、長く話す過ぎてしまったわ。ときが飽きてしまいそうなので今日はこれで失礼します。とき、お待たせ。」
「はい。またいつでもいらしてくださいね。」
「雪姉さまおわった?おばさん!さよなら~!!お団子とお饅頭ありがと~」
まったく、いいより道をしてしまったわ。
まあ、ときもご機嫌だし良かった。
ただ、飴玉に似た毒物。
ちょっと怖いわねえ。
道場が見えてきたわ。
本当に怪我だけはしてほしくないものね。
「雪!とき!」
「安明兄さま!みてみてお饅頭もらったよー!」