漢の花
変わりたいっ・・・!
その男は教室の窓から外を眺めていた。

あの空を飛ぶ鳥のように自由に生きる為にっ・・・自信を持って生きる為にどうすれば良いのだろうかっ・・・

その為には『変化』しかない。

男はため息をつく。

(あ〜ダメダメっ・・・!まるで駄目っ・・・!こんな事考えている内は変化なんて訪れねぇんだって・・・!)

男は普段から変化を求めていた。変化と行っても姿形を変えたいと言うわけではない。言うなら今ある自分の立場っ・・・!学校のクラスでの立場である。

彼は別に容姿が優れているわけでもなく、スポーツが出来る訳でもなく、勉学が出来る訳でもない。つまり何も得てはいないのだ。

当然、高校生として歯痒いっ・・・!

何も得ていないと自分で分かっている分とにかく歯痒いっ・・・!自分の不甲斐なさにっ・・・!

クラスのスポーツ万能の早川は周りの友達や女子からちやほやされて、言うなら『人にモテている』という感じだ。

勉強しか出来ないクラスのガリ勉くんの戸柱もテスト前にはクラスのみんなが勉強を教えてとモテモテだ・・・!

しかも戸柱の野郎は冴えねえ顔をしたメガネのくせに可愛い彼女がいやがるっ・・・!俺より地味な顔の癖にっ・・・!こんなのアリかよっ・・・!羨まし過ぎるだろっ・・・!アイツ地味で暗くて運動音痴でモテる要素ねぇ癖によぉっ・・・!

はあっ・・・やめよう・・・男の嫉妬は醜い・・・



そう、俺より外見が悪くても何かを『得ている』からモテて、俺よりバカでも『他を引き寄せる何か』があるからモテる訳だ。

つまり何か『突出した能力』があるから人が寄ってくるのだ。

俺みたいに容姿も運動も勉強も中途半端な男は女からすれば『半端者』というわけだ。当然モテるわきゃないわなっ・・・!

あーっ・・・変わりたいっ・・・!




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