大江戸ロミオ&ジュリエット

多聞が激しく志鶴の口を吸う。
志鶴も多聞の(せな)に手を回し、 着物をきゅうぅっと掴んで応える。

あの夜以来、久方ぶりだ。

口の中で互いの舌の先が出逢う。
すぐさま多聞がねっとりと舌を絡み合わせる。

志鶴にあのときの熱が甦った。

たちまち二人とも夢中になって、貪るがごとく互いの感触を味わう。


やがて、くちびるが離れたとき、互いに荒い息で肩を上下させていた。

「旦那さま……」

志鶴が熱っぽく潤んだ瞳で多聞を見た。

「……くそっ、細っこ過ぎて壊しちまいそうだ」

多聞が口惜しげに呟いた。

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