大江戸ロミオ&ジュリエット

「……旦那さま、お支度に参りましてござりまする」

(ふすま)を開けると、ちょうど髪結いが多聞の髪を整え終わったところであった。

与力や同心の心得として、毎朝出入りの髪結い屋に髪を整えさせていた。

道具の後片付けをしていた髪結いが、顔を上げて志鶴を見た。

その顔を見て、志鶴の息が止まった。

切れ長の目に、スッと鼻筋が通っていて、ちょっと薄めの唇。


……まさか。

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