大江戸ロミオ&ジュリエット

「あの方」と志鶴の目が合う。

切れ長の澄みきった目が、志鶴をまっすぐに射抜いた。

その刹那、志鶴は悟った。

……わたくしの様子を見に来られた。

志鶴の口の端が、目に見えるか見えないかのぎりぎりのところで、(かす)かに上がった。


……なんてことをなさるのか。
ここは「南町」の「本丸」なのに。

< 119 / 389 >

この作品をシェア

pagetop