大江戸ロミオ&ジュリエット
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志鶴を運ぶ駕籠(かご)かきの足が止まった。
すぐさま駕籠が地に下ろされ、(すだれ)が上がる。

志鶴は駕籠から降りて、振り返った。
あとからついて来ているおせい(・・・)の駕籠はまだのようだ。

目の前に仕舞屋(しもたや)があった。
以前に、初音から仕事場と住まいを兼ねていると聞いていた。

志鶴は玄丞の宅に来たのは初めてだった。
玄丞に診てもらうときは必ず、家まで往診してもらっていたゆえだ。

志鶴は引き戸が開け放たれた仕舞屋に、足を踏み入れた。

(おとな)いを告げようとした、その刹那……

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