大江戸ロミオ&ジュリエット

嫁入ってから三月が過ぎたというのに、志鶴は未だに生娘であった。

食べてはいるつもりだが、やはり慣れない暮らしの中で志鶴の目方が思うようには増えぬゆえ、多聞が(おもんぱか)っているのだ。

それでも、多聞とは御役目の宿直(とのい)のとき以外は、志鶴の自室にて同じ夜具で寝起きしている。

たとえ月の(さわ)りがあっても、必死で止めるのも聞かず、多聞は志鶴の夜具の中に入ってくるくらいなのだが。


だが、多聞とて男だ。

思うように妻を抱けぬのであらば、(くるわ)通いをするのも無理はない。


……致し方なきこと、であろうか。

< 180 / 389 >

この作品をシェア

pagetop