大江戸ロミオ&ジュリエット
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志鶴が座敷へ入ると、下座でおなごが三つ指をついて出迎えた。すぐさま料理茶屋の女中が茶を運んできた以外は、もう座敷へはだれも入って来なかった。
「ようおいでになりなんし。わっちは、吉原は久喜萬字屋の梅ノ香でありんす」
おなごは鈴のような声で名乗った。
志鶴は涼しげな紗の打掛の裾をひらりと払って、上座にすっと腰を下ろした。
「松波 多聞の奥じゃ」
凛とした声が座敷に響く。
頭は下げない。名前も名乗る必要はない。
身分が異なるからだ。
志鶴が座敷へ入ると、下座でおなごが三つ指をついて出迎えた。すぐさま料理茶屋の女中が茶を運んできた以外は、もう座敷へはだれも入って来なかった。
「ようおいでになりなんし。わっちは、吉原は久喜萬字屋の梅ノ香でありんす」
おなごは鈴のような声で名乗った。
志鶴は涼しげな紗の打掛の裾をひらりと払って、上座にすっと腰を下ろした。
「松波 多聞の奥じゃ」
凛とした声が座敷に響く。
頭は下げない。名前も名乗る必要はない。
身分が異なるからだ。