大江戸ロミオ&ジュリエット

だが、かように心傷ついた志鶴の姿は、(おのこ)ならだれしも手を差し伸べとうなる「一人のおなご」であった。

尚之介の顔がせつなげに歪んだ。
思わず志鶴の肩を掴んだ。


「志鶴殿……もう『北町』へ帰ってきてござれ。これ以上、おぬしのかような姿を見てはおれぬ」

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