大江戸ロミオ&ジュリエット
多聞は、心底ほっとした顔をしていた。
「……おまえ、あの同心に、身体は許してなかったのだな」
傍らで事切れたように眠る志鶴を、この上もなく愛しく見つめながら、その愛らしい頬を撫でる。
かわいそうに、涙の跡が幾筋もあった。
多聞が我を忘れて、夢中になって、すっかり満足して崩れ果てるまで、志鶴には無理をさせてしまったからだ。
「目方が戻らぬ前に、思うままに抱いてしもうたな」
多聞は、志鶴のか細い身体をせつなげに見つめた。