大江戸ロミオ&ジュリエット

「すまぬことをした。
今の今まで……生娘でござったというのにな」

かような(つぶや)きとは裏腹に、次第に口元が緩んでいく。

そして、いつしか満足げな顔になっていた。
うれしくて、(たま)らなかったのだ。

多聞はおのれだけが知る、我が妻の一糸(まと)わぬ身体(からだ)を引き寄せ、きゅううぅっと抱きしめた。

それでも、志鶴は目覚めることはなかった。
すっかり力の抜け切った四肢を投げ出したまま、夫のされるがままになっていた。

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