大江戸ロミオ&ジュリエット
◆◇ 大 詰 ◇◆

◇口上◇


ある日、多聞が御役目を終えて八丁堀の松波の組屋敷に帰ってくると、おせいが奥から(あわ)てて飛び出してきた。

「若旦那さま……北町の佐久間様が来られて、今、旦那さまとお話を」

志鶴の父親の佐久間 彦左衛門だ。

多聞は、与力の勤め着である(かみしも)肩衣(かたぎぬ)も取らぬまま、急いで客間へ向かった。

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