大江戸ロミオ&ジュリエット

「……下がってよい」

その声に、志鶴は顔を上げた。呆けた顔をしているに違いない。

「本日は祝言で疲れておるでござろう。
……今夜は(はよ)う休め」

そう云って、多聞は顔を背けた。

志鶴はもう一度、平伏した。

「それでは、失礼いたしまする。
旦那さま……御寝(おやす)みなされませ」

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