大江戸ロミオ&ジュリエット

多聞は志鶴の顔を見つめた。
もう離れて暮らすのには耐えられなかった。
眠りにつくときも、目覚めたときにも、志鶴の顔がいつもそこにあってほしかった。

多聞は志鶴の顎を指で、くいっ、と上げて、その愛らしいくちびるを、ちゅっ、と吸った。

ひさかたぶりに、互いのくちびるを合わせた。
多聞は、ぷるっとした志鶴のくちびるを、もっともっと味わいたくなる。

そしてもう一度、互いのくちびるを重ねる。

多聞はふわりと開いた志鶴のくちびるの中へ、すかさず我が舌を、するりと滑り込ませる。
そして、志鶴の口の中で、互いの舌を、ねっとりと絡ませた。

多聞の舌が燃えるように熱い。
志鶴の舌が(とろ)けるように甘い。


くちづけは……さらに深く長く続いた。

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