大江戸ロミオ&ジュリエット

「……それから、わたくしはそなたとは口もききとうないし、顔も見とうもない。
そなたのことは、この……おせいに任せたゆえ」

富士の斜め後ろにいたおなごが、ぺこりと頭を下げた。

昨夜、多聞の寝間まで案内してくれた奉公人だった。

志鶴よりいくつか歳下のように見える。

……姑上(ははうえ)様とはなかなか難儀なようだが、とりあえず歳の近い「話し相手」ができてよかった。

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