大江戸ロミオ&ジュリエット

……お目にかかって間もない旦那さまに、
「月の(さわ)りゆえ、お止めくださりませ」
とは恥ずかしうて、口が裂けても云えぬ。

さようなことを口にするくらいならば、この場で舌を噛み切ってもよい、と志鶴は腹の底から思った。

それゆえ、志鶴は。

ありったけの身体(からだ)中の力を集めてきて……

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